ポッキーの日だと沸く日本の友達の投稿をよそ目に僕はイギリスで少々堅苦しい思いをしていた。
イギリスにポッキーが売っていないからではない。きちんと近所のスーパーに売っている。
11月11日はこちらではRemembrance Day, 通称Poppy Day だからである。
みんなで戦争死没者を弔おうぜって日である。
なぜ11月11日なのかというと、第一次世界大戦が休戦したのがこの日だったからだ。当時の国王であるジョージ5世により制定された。その後、第二次世界大戦でも被害が拡大し、フォークランド紛争や湾岸戦争でも数々の犠牲を出したイギリス。それら全ての犠牲者を弔うのがこの11月11日のリメンブランス・デイである。
この数週間になると赤い花のバッジやら造花やらを胸元につけている人をよく見る・・・というか英国人は全員つけている。
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テレビに出る人は"トラブル回避"のために絶対につけている。 |
どうやら募金をするともらえるようだ。日本でいう赤い羽根募金と思っていただいて差し支えない。
この赤い花はポピー、ケシの花である。第一次世界大戦で最も死者を出した戦地、ベルギーのイーベル地方の特産品だ。
このイーベル地方ではドイツ軍と連合軍の激しい戦闘により建物や道路、その他ありとあらゆるものが破壊された。多くの兵士が死んだ。そして戦争が終わったあと、更地となった地には赤いポピーが一面に咲いた。それを見た人々は戦争により流された血を花が吸い取ったと思ったらしい。それだけ多くの兵士が死に、ポピーが咲いていたそうだ。
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ベルギーのイーベル地方 |
そしていつからかリメンブランスデイの1週間前から当日まではポピーを胸につけるのが常識になった。少なくともイギリスでは。もしつけていなければ、愛国心のないやつだとか、死者を冒涜しているだとか、いわれのない批判を受ける羽目になる。
しかし、これについては('賛'が圧倒的多数ではあるが)、一応賛否両論あるらしい。
自分は日本人として少し複雑だ。つけていると「敵国のくせに」と言われることもあれば、つけてないと「イギリスにいるのにこの国をリスペクトしてない」だとか言われる。
愛国心とは時に大変厄介なものだ。
何事も、他人に強要するのはよくない。しかし、自分は過去の犠牲の上に生きていることも忘れてはならない。そして、1年で1週間だけでも彼らの犠牲を偲ぶ時間を持っているのは、間違いなくいいことだ。こんな重要で重たい日に、遠い日本で人々がポッキーを買って喜んでいるギャップがすごいと思った。
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