コロン発祥の地のコロン博物館に行って来て、かなりコロンに詳しくなった。そこにはロマンがあったし、老舗の誇りも感じた。日本の皆さんはあまり知らない(知る機会もあまりない)と思ったので今回は紹介したい。
これから語るコロンの知識は、全て博物館で学んだことだ。
ケルンに着いた。この街で有名なのは大聖堂で、世界遺産にも登録されている。
1248年に着工し、1880年に完成。鎌倉時代に作り始め、明治時代に完成というとんでもないものだ。
大聖堂は157mとゴシック様式の建築物では世界最大。今もなんか工事中。
しかし今回はまた別のお話。大聖堂の他に有名なものと言えば、ずばり『水』。
ケルンの水からつくられる特産品は二つ。一つはケルシュ・ビール。もう一つが、コロンである。
eau de Cologne、オーデコロンと言う言葉を聞いたことはあるだろうか。香水の種類の一種のことだ。
このように、濃度が一番弱い香水を指す。
コロンの誕生
『イタリアの雨上がりの春の朝の柑橘類、花、ハーブの香りを思わせる匂いである』
その香りを小瓶に閉じ込めることに世界で初めて成功した男が18世紀のケルンにいた。
名はヨハン・マリア・ファリーナ、イタリアからの移民だった。
このコロンを作った調合室は、地下だったため、第二次世界大戦の戦火を免れ、当時の空気をそのまま今に繋いでいる。そして、そこに数々の資料が展示してあるわけだ。
ちなみにこのケルンのコロン博物館では、ファリーナさんが現代に甦って、案内してくれる。
ファリーナさんは気さくでとっても感じのいい方。
ちなみに写真、ビデオは禁止だったので中は撮れていません。
18世紀…人々はウンコを窓から捨て、風呂に入ると梅毒になると信じられていたので風呂にも入らず、貧乏だろうが貴族だろうが、臭いに悩んでいた。
ファリーナは考えた
「どうにかしてこの体臭をカバーできれば…」
そして、試行錯誤の末、それを完成させた。住んでいる場所への敬意から、『eau de Cologne』、即ち『ケルンの水』と名付けます。eau de Cologne自体はドイツ語ではなく、フランス語なのだが、これは当時、フランス語がお洒落で上流階級のものと考えられていたため、フランス語にしたそうだ。
ケルンの水は、フランスから攻めてきたナポレオンに気に入られ、フランスに持ち帰られ、大ヒット。貴族や王族の御用達となったファリーナ。特にナポレオンは、自分の革靴に香水の瓶を収納するスペースを作らせ、1日1瓶使ったと言う気に入りようだったそうだ。
贋作、盗作、権利の問題
コロンのヒットと同時にファリーナは盗作、贋作に悩まされる。当時は特許や権利などの法律が整っていなかったため、3,000を超える海賊版が出回った。日本でも有名な”4711”もその一つだったそうだ。
4711のやり方は姑息で、ファリーナと言う名前はイタリアで田中さん的な名前だったため、全く関係のないファリーナさんをイタリアから連れてきて、名前だけを買い取り、ファリーナとして販売していたという、嘘のような本当の話しの記録も地下に残っている。
なにはともあれ、50年を超える裁判の末、権利を勝ち取ったファリーナ。
現在、コロンは数多くあれど、オリジナルはたった一つ、このファリーナなのだ。
愛用していた有名人
今でさえ安価で手に入るコロンだが、当時は一般の人の3ヶ月分の給料でも買えないほどの高級品であったらしい。その為、顧客リストには王族などの有名人が多くいた。
ヴィクトリア女王(英国)
1837年に女王に即位した年にファリーナを王室御用達に指名、ほとんどのヨーロッパの王室がこれに続く(日本では1874年に宮内省の御用を承る。)
ゲーテ、モーツァルト
行き詰まったり、気分を変えたいときに、机にかけて頭を冴えさせたそうだ。
その他にもルイ15世、ダイアナ妃、クリントン氏、など数々の有名人が愛用した記録が残っている。
老舗としての誇りと伝統
このファリーナは1709年に初代ファリーナが完成させてから、レシピが一つも変わっておらず、現在は8代目ファリーナに受け継がれているという。つまり、ナポレオンやゲーテ、モーツァルトらが愛した、そのままの香りを現在も手に入れられるということだ。しかも当時よりずっと安価で。
ライバルの4711社の香水はデパートなどでコーナーがあり、日本でも通販などによって手に入れることが出来るが(これが知名度に繋がっている)、このファリーナはこの博物館に併設するショップか、専門の調香師がいる場所でないと販売を許可していない。まさに老舗としてのプライドを感じる。
”祖国イタリアをイメージした”という優しい香りに包まれながら300年前に想いを馳せつつ、元祖ケルンの水は今日もひっそりと売られている。
これだけ詳しい説明をファリーナさん本人がしてくれて、調合室は当時のまま、顧客リストなどの貴重な資料なども当時のまま、終わりには€4で売られている香水がプレゼントとして貰える。かなりお得なコロン博物館、ケルンを訪れた際は是非オススメしたい。
300年前のことを肌で、鼻で感じる機会は、そうそうないはずだ。
300年前のことを肌で、鼻で感じる機会は、そうそうないはずだ。
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