January 26, 2014

【CHERRY】花祭り

さぁいよいよ花祭り当日。

まだ五月の初旬だというのに晴れすぎた空は人だかりの多いこのお祭りには少しきつい。

学校の校門で待ち合わせをしたがそこには珍しく時間どおりに来た近藤だけがいた。

「あいつらが先に着いてないってめずらしいな。」近藤が言った。

その後に続く若干ウザいシュタゲワールドを恐れたがそれに続く言葉はなかった。

「きっと石川が遅れてるんだな。本当に女子ってなんで一人で行動できないかなー。」俺は普段あんまり熱くならないタイプの人間だが何個か引っ掛かるキーワードがあり、”連れションの不必要性”は少し冷めてる俺の血を熱くする。基本的に一人で行動できない人間が嫌いなのだ。

「なんか最近あいつらと前ほど話さなくなったよなー。一緒にいる時間は変わらないのに、なんか少し距離ができたような気がするんだよなー。」近藤のくせに真剣な発言。

「そうかなー。俺は変わんない気がするけど。」

「お前色んな人達を客観的に見すぎだぞ。届かないものに手を伸ばしすぎて今掴みかけてるものまで落とすなよ。」近藤が何を意味しているのか全く分からなかった俺は「うん。」とだけ答えた。

「遅れてごめんー!蒼木の大きな声。

「おい、今は部活中じゃないんだから声抑えて抑えて。お前しっかりしてるのにたまに恥ずかしいよな。」近藤一言を聞いた残りの三人はいつも一番痛い行動をとる彼のその発言に目を合わせて笑った。

「でもお前らが遅刻って珍しいな。」俺が聞く。

「なんかまゆが朝いきなり買い物に付き合ってって言ってきて、今まゆが着てる服全部さっき買ったんだよ。」蒼木に言われたくなかったのか、石川は少し照れているみたいだ。

確かにいつもの子供っぽいTシャツに短パンの影はなく柔らかい花模様のワンピースに大きなベルトをしていた。The モデルの真似をしましたって感じだが意外によく似合っていた。

そう思い彼女をじっと見ていると目があった彼女が言った。

「あんた凛ちゃんの私服べた褒めだったけどみんなお金がないだけでセンスが無いんじゃないのよ!」これは俺が橘の私服の話をした時に口にした”中二の女子の私服が一番見苦しい”という失言を明らかに意識していた。

「それにあんた人の服をどうこう言えるほどお洒落じゃないじゃない。」追加攻撃だ。

「だって俺服にお金使わねーし、男なんてお洒落でもなくダサくもない程度が一番モテるんだぞ。ってモテない俺が言っても説得力ないか。」俺の一言に石川はいつも通り不満そうだ。(笑)

近藤と蒼木が目を合わせて苦笑いをした。それを横目に感じた俺と石川の視線を受けるとともに二人「出発―ッ」と言いお祭りの方向へと足を進めた。

久しぶりに感じるいつもの四人らしいいつもの四人に皆の顔を少しだけいつもよりにこやかだった。

続く

No comments: